Dream*11 ページ13
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｢何か飲み物いる？｣
｢お願いします｡｣
キッチンに移動して､お茶を入れる準備をする…
はずだったんだけど､
｢…？！｣
背中に感じる阿部くんの温もり。
私の胸元で組まれている腕。
これは世に言うバックハグというやつ。
なんだか普通のハグより緊張する。
今も心臓がバクバクしてる。
｢やっぱり飲み物なんかいらないや｡｣
そう言って私が持っていたマグカップを台の上へと戻す。
耳元で話されるとくすぐったくて､全身に力が入ってしまう。
囁くように話すの､身が持たないからやめてほしい。
｢今は少しでも長くAさんとくっついてたい｡｣
｢あ､阿部くん､｣
｢なに？｣
うぅ…突然のタメ口…キュンとくる…
このときめきは不可抗力。
｢今日､なんか変じゃない？｣
｢そうですか？｣
｢いつもは…こんなに甘くないでしょ？もっとクールじゃん｡｣
｢クールな方が好みですか？｣
｢そういうわけではないんだけど､｣
どんな阿部くんでも私は大好きだから。
これはきっと惚れた弱みってやつ。
｢さっきAさん､俺に依存してるって言ってましたよね？阿部くん依存症だ〜って｡｣
｢うん､言った｡｣
両肩に手を置かれて､くるっと後ろを向く。
｢それは俺も同じです｡｣
｢え､｣
｢俺もAさん依存症です｡それもかなり重度の｡｣
｢ふふ､それは言いすぎだよ｡｣
｢俺とAさん､お似合いですね｡お互いに依存しあってて｡｣
阿部くんはそう言って笑うけど､きっと勘違いしてる。
私が言う“依存”はそんなにかわいいものじゃない。
｢私の方が阿部くんのこと好きだよ､絶対｡｣
｢いいえ､俺のが勝ってます｡｣
即答。
ここは意地でも食い下がらない気だ。
私が気持ちで負けるはずないのに。
｢だって私､毎日阿部くんのことばっか考えてるよ？気持ち悪いでしょ？｣
そんな阿部くんに対抗するかのように私も言い返してみる。
言い返すっていうより､単なる恥ずかしい暴露な気もするけど。
｢俺だってAさんのことばっか考えてます｡毎日､ずっと｡｣
｢私なんて会社で阿部くんが女子からキャーキャー言われてるところ見る度にいつも嫉妬してるよ？私のものなのにっていつも思ってるんだよ？｣
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作者名：夏目 | 作成日時：2024年3月26日 17時
