Dream*12 ページ14
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｢俺だってAさんが男の人といるところを見る度に嫉妬してます｡Aさんは俺のものだから近寄るなって思ってます｡｣
｢私は日常生活に支障が出るぐらいに阿部くんのことが好きだよ｡｣
｢俺だってそのぐらい好きです｡｣
｢…ふふ､｣
｢なんで笑うんですか｡｣
｢だめだ､もう耐えられない｡｣
どこか不服そうな表情｡
そんな表情もかわいく見えてきちゃう。
｢自分のこんな気持ちを阿部くんに言う日が来るなんて思ってもなかったから｡｣
ずっと心の中で留めておくものだと思ってたから。
｢ねぇAさん｡｣
｢なに？｣
｢俺､実は会社に入る前からAさんに会ってるんですよ｡｣
｢え？｣
｢この会社に面接に来た時､廊下ですれ違ったんです｡｣
覚えてないでしょ？って笑う。
阿部くんの言う通り､私にはまったくその記憶がない。
｢初めて会った時､思ったんです｡この人と一緒に働きたいって｡
そしたら自分が配属された部署にAさんがいて､もうこれは運命だなって思いました｡なにがなんでもAさんのことを手に入れなきゃって｡｣
｢すごいね､ほんとにそうなっちゃった｡｣
｢ふふ､すごいでしょ？｣
｢うん､すごい｡｣
愛おしい気持ちが高まって､頭を撫でてみる。
すると､阿部くんが両目を瞑って幸せそうな顔をした。
なんだこれ､あざといにもほどがある。
私と1歳しか変わらないのに､なんでこんなにかわいいの？
あなたほんとに成人男性？って聞きたくなる。
頭を撫でるのをやめると､ゆっくりと目を開けて私をじっと見つめる。
｢な､なに？｣
｢今のはAさんからキスする流れじゃないのかな〜って待ってたんだけど…違った？｣
｢っち､違う！｣
｢え〜…残念｡｣
口を少し尖らせて拗ねた顔。
その表情もまたあざとい。
｢じゃあ…もう1回目瞑ってくれる？｣
｢はーい｡｣
再び阿部くんが目を瞑って､私に合わせて少し背をかがめる。
こんなにも近い距離でじっと顔を見つめることなんてめったにないから､綺麗で整った顔だなって改めて思う。
ゆっくりと顔を近づけて､触れるだけのキスをする。
｢もう終わりですか？｣
｢お､終わりです｡｣
｢じゃあ俺からもう1回｡｣
そう言って後頭部に手を添えられたと思ったら､再び唇が重なった。
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作者名：夏目 | 作成日時：2024年3月26日 17時
