Dream*2 ページ4
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私と阿部くんが付き合い始めたきっかけは全然ロマンチックなものでもないし､思い出してキュンとする要素も全くない。
なんならお互いに告白という告白もしてない。
それでも今､私は阿部くんに夢中。
日に日に好きになっていく。
付き合い始めた当初より､今のが何倍も好きな自信がある。
阿部くんといると､抜け出せない沼にハマったみたいな気分になる。
だからいつも､一緒にいる時は脳内で危険信号が鳴り響く。
そう､これこそ私が抱える問題。
私が阿部くんを好きになりすぎたこと。
恋にはいつか終わりが訪れる…かもしれない。
もし阿部くんと別れるなんてことになったら､多分私は何年も引きずると思う。
もしかしたら立ち直れないかも。
先のことを考えると､やっぱりこれ以上阿部くんに依存するのはやばい。
このままじゃ大変なことになる。
頭ではそう分かってても自分の気持ちは正直で､結局いつも流されてしまう。
今度こそは､今日こそは､阿部くんと距離を取らないと。
そう心に誓ったタイミングで､スマホが阿部くんからのメッセージを告げた。
“今夜､デートしませんか？”
キュン。
文面を見ただけでもうときめいちゃった。
これはかなり重症。
自分でも分かってるのに。
｢スマホ見てニヤけるのやめてくれない？｣
｢ご､ごめん｡｣
｢もしかして今日デート？｣
｢うん｡｣
今日もまた､自分の欲には勝てなかった。
・
・
・
｢Aさん｡｣
｢阿部くん｡｣
仕事終わり､駅の前で待ち合わせ。
会社から少し離れたこの場所なら多分誰にも気付かれないはず。
そう思って阿部くんと仕事終わりに待ち合わせする時はいつもこの場所を選ぶ。
｢ごめんなさい､思ったより仕事が長引いちゃって｡｣
Aさんを待たせたくなかったのにって､私の手を両手で握って温めようとしてくれる。
両手でわざわざ握るところとか､ずるくない？
こんなことされてときめかない女はいないよ？
こうやって阿部くんがまた私を沼に引きずり込むの。
私が抜け出せないように捕まえるの。
｢平気だよ｡｣
私がそう答えると､よかったって微笑む。
寒さなんて全く気にならない。
阿部くんの顔見ただけで寒さなんか忘れちゃったから。
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作者名：夏目 | 作成日時：2024年3月26日 17時
