Dream*4 ページ6
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見事に作戦失敗した次の日。
｢今日から1週間うちの部署から2人選ばないといけないんだけど､誰か行ってくれる人いる？｣
朝から部長がそんな提案をみんなに伝えた。
どうやら来月から始まる新しいプロジェクトの準備がうまく進んでいないらしく､今日から1週間だけその手伝いのためにうちの部署から2人必要らしい。
｢じゃあ俺行きます｡｣
｢おぉ､岩本｡君が行ってくれると助かるよ｡｣
その提案に即手を挙げたのは同期の照。
私にとって照は部署が同じ唯一の同期。
だから結構仲がいい。
うちの部署内では次期エースって言われるぐらい､仕事も早くて完璧な人。
｢岩本とあともう1人､誰かいないか？｣
他の部署の手伝いに1週間。
つまりいつもの職場から1週間離れるってこと。
しかも一緒に行く相手は照。
困った時は照を頼れる。
これは…阿部くんと距離をとる大チャンスでは？
ふと､視界の端に阿部くんが映る。
目が合ってしまうとこの決意が揺らいでしまいそうで､すぐに顔を逸らして俯いた。
｢っは､はい！私いきます｡｣
顔を上げて勢いよく手を挙げる。
阿部くんはそんな私を見て驚いた表情。
照はなぜか笑ってる。
｢じゃあ蒼井｡任せたよ｡｣
｢はい｡｣
今日から阿部くんと離れる1週間が始まる。
寂しい気持ちが全くないわけじゃないし､本当は離れたくなんかなかった。
でもこの1週間をなんとか乗り越えなきゃ。
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さっそく移動することになって､照と並んで2人で廊下を歩く。
部署から出る時に阿部くんの視線を感じたような気がしたけど､振り返らなかった。
それだけでも自分を褒めてあげたい。
｢珍しいじゃん､Aがこういうの行きたがるの｡｣
｢ちょっと事情がありましてね｡｣
照の言う通り､私は普段こういうものに消極的だ。
あんまり目立ちたくないし､自分の慣れ親しんだ場所から離れたくないから。
｢ふは､なんだよ事情って｡｣
｢照には言わなーい｡｣
｢別にそこまで興味ねぇし｡｣
｢とか言ってちょっとは気になってるでしょ？｣
｢全然？｣
照とこうやって話していると､同期っていいなと改めて思う。
気を使わないでいられる関係ってやっぱり心地良い。
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作者名：夏目 | 作成日時：2024年3月26日 17時
