Dream*6 ページ8
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照とこうして一緒に仕事をするのも今日で最後。
つまりそれは阿部くんと距離をとるようになって早くも1週間が経ったことになる。
楓に言われた通りに潔く諦めようとしたけど､急に何事もなかったかのようにするのも恥ずかしくて､結局元に戻れないままでいた。
だからこの1週間はひたすら仕事に全力を注いで､他に目がいかないように必死に頑張った。
｢Aって意外と真面目だよな｡｣
｢いやそれどういう意味よ｡｣
｢ちゃんと仕事してるよな〜って｡｣
｢ふふ､私をなんだと思ってるの？｣
｢適度にサボってるずる賢いやつ｡｣
｢なんかそれすごい嫌なやつじゃん｡｣
｢違うって､褒めてんだよ｡｣
｢ほんとに？｣
｢適度に気抜くのって案外難しいじゃん｡阿部ちゃんとかいつ気抜いてんのってぐらいにいつ見ても仕事してるし｡｣
｢お､おぅ…｣
｢何そのリアクション｡｣
突然照の口から発せられた阿部くんの名前に思わず驚いてしまう。
｢阿部ちゃんって俺らより仕事できるよな｡年下とは思えん｡｣
しかもそこ掘り下げるんかーい。
阿部くんが他の人からも褒められてるのは嬉しいことだけど､今の私にその話題はやめていただきたいんですが…。
｢そ､そうだねぇ…｣
｢A､さっきからなんか様子変だけど何？どうした？｣
｢そんなことないけど？｣
｢阿部ちゃんのこと好きとか？｣
｢ち､違うわい！｣
嘘だってニヤニヤしながら照が距離を詰めて質問を続けてくる。
近い距離に心臓が高鳴る。
けど今はそれどころじゃない。
私が阿部くんを好きな気持ちに気付かれるのをなんとかして防がないといけない。
｢怪しいな…｣
｢だから違うってば！｣
照ってこういう時感鋭いんだよな…。
｢岩本くん､ちょっとこっち手伝ってくれる？｣
｢あ､はーい｡｣
どう誤魔化そうか必死に言い訳を考えていると､遠くから照を呼ぶ声が聞こえた。
ナイス他部署の先輩。
名前は知らないけど､あなたのおかげで助かりました。
後でまた聞かせろよって照に目で訴えられる。
私はそんな照から逃げるように反対方向へ歩いていった。
｢…？！｣
目的の場所へ向かう途中。
資料室の横を通り過ぎようとした時だった。
どこからか伸びてきた誰かの手によって､私の体は部屋の中へと吸い込まれていった。
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作者名：夏目 | 作成日時：2024年3月26日 17時
