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「ふっざけんなよ。恋人のフリとかしょーもないことして、試して、振り回して、好きになってくれたのに応えんで言い訳ばっかして」
「康二」
「向き合えや！自分の好きな人が好きって言ってくれてる事、当たり前やないんやぞ！」
泣きながら怒る康二。きっとあの子の事と、俺の事を思って怒ってくれている。
「…ふっかさんの前の恋愛が、信じらんくらい壮絶なのも分かる。俺にはわからんくらい、辛かったやんな。」
自分こそ振られたばっかで辛いはずなのによく言う。
自分の痛みより、人の痛みを心配するんだから結局良い奴だ。
「でも今は今やん。今のふっかさんを見てくれてるアイツを、真っ直ぐ見てやってくれよ」
彼女が康二のことを自慢の友達と言うのもわかる。こんな熱いやつ、いないもんね。
「…康二、ありがと」
「ん…ごめんな、言いすぎたかもしれん」
「あは、しょげんなって。嬉しかったよ」
しょんぼりした顔に笑いかけると、ふっかさぁん、と情けない声を出した。さっきまでの勢い、どこいったのよ。
【ハンカチ、返すって言ったけどやっぱり返さない】
そう言ったのは、返してしまえば彼女との繋がりが消えてしまいそうで怖かったから。あの時の俺をその優しさで救ってくれたのは、間違いなくあの子だ。
今頃、なにしてんのかなあ。ほっぺた大丈夫かな。
仕事中、考えてるのはあの子の事ばっかで。
偉そうに堕としてみてよなんて煽っておいて、まんまと堕ちてるのは俺の方じゃんね。
「…こーじ、俺頑張るわ」
「ほんまな。俺という強敵も居なくなったわけやし」
「最初から敵なんて思ってないけどね」
「はぁ！？なんやと！」
結にも、きちんと向き合わないといけない。…相当傷つけたし、辛い思いもさせたから。
その気持ちに応えられないとしても、逃げるんじゃなくて…ちゃんと言葉で伝えなきゃいけない。
＿＿＿＿そして何より、Aちゃんに。
あの時、俺を助けてくれてありがとう。
こんな俺を好きになってくれてありがとう。
不器用でごめんね。たくさん傷つけたよね。
言いたいことは沢山あるけど、まずは…はやく逢いたい。
今日会ったばっかだろと内心ツッコミを入れて、片手に持ったアルコールを飲み干した。
「ふっかさんって優しすぎやんな」
「康二に言われたくないけどねぇ」
「似たもの同士っちゅーことやな、俺ら」
どこか気持ちが晴れてスッキリした。
最後にありがとうと康二に伝えると、気持ち悪いからやめえ、なんて生意気言われたけど。
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作者名：蒼 | 作成日時：2024年3月16日 3時
